信頼は最大のエネルギー

池宮  秀湖

 本女命は、平成十三年辛巳年に母子家庭となった環境の中にあって、私立の中学校から、高等学校へ進学し、 現在は常にトップの成績で、大学進学への勉学に意欲をもやしています。
 この女命は、出生と同時に武田考玄先生のご指導を受け、小学校四年生の頃より、遁甲の活用を始めました。
 小学校五年生の時、家庭環境の変化に、精神的に大きなショックを受け、成績が中以下にまで下がってしまいました。 しかし、本女命は、武田考玄先生が大好きで、尊敬しておりましたので、先生が勧める遁甲活用をすれば、 必ず自分の生命エネルギーに何かが加わり、目的・願望が叶うことを信じていました。 武田考玄先生亡き後も前向きに遁甲を活用し続け、自信が付いて来たのでしょう。 中以下の成績から、一挙に三十人のゴボー抜きをして、トップに躍り出ました。


解  命

信頼は最大のエネルギー(命造)

 己日丑月水旺の癸分野生まれ、時干に透癸する「偏財格」。天干己癸尅不去、地支卯酉冲去し、 年月支の午・丑は日時支の方へ接近することにより、調候とも印ともなる午火が日干に有情となります。 しかし、厳寒の丑月、調候としては二丙くらい必要であるのに、火源としての甲乙木が去となり、午中丙丁火は、 丑土に納火され、調候としては不及です。この年支午火は、運歳に何が来ても去とはならないところが佳ですが、 日時支卯酉が、子・丑・卯・辰・巳・午・亥で解冲し、全支個有の支となれば、日干に無情な印となります。
 日干己土は丑中の己土に通根するものの、水旺の生まれで、陰干でもあることから、有力な根とは言えず、 月干の己土も同様に陰干にして丑土とともに年干の庚を生じ、有力な幇助となることはできません。また、 庚金は丑中癸水を生じ、水源の深い丑支が接近することにより、時干の癸水の財は強化され、日干己土は、 この時干の癸水と丑中癸水を制さなければならず、日干は弱となります。
 己土の特性、「不愁木盛。不畏水狂。火少火晦。金多金光。」そして「若要物旺。宜助宜幇。」であり、 日干己土を助け、食傷の庚辛金を制し、調候ともなる午中丙火を用神とし、喜神は火土、忌神は金水木となります。
 以上により、始終は良好とは言えないものの、『四言独歩』いうところの、「己干用印」であることから、 源は「半濁半清」と言うことができます。
 次に運歳の喜忌と、事象について述べますと、

  • 0才辛未年は、原局卯酉冲去のままの流年であり、出生時の家庭環境は良好の方で、母の愛情に恵まれて、順調に育つ。 1才壬申年の3月12目頃、第一運に交入します。
第一運  1才~11才  戊子
 天干は戊癸合にて己癸解尅、支は子午卯酉の四正揃い全支個有の支。大運干の戊土は湿土生金、金生水、水生木と忌神の木を生じるものの、 丑支に阻まれ、年支午中丙火に繋がることなく、午火は日干に無情となるとともに、“冲を重しとする”の大運支子との水尅火となって、 用神であり、調候でもある印の午火は極端に弱化。やや忌の傾向性ある運。
  • 1才壬申年、大運交入直後より、やや病弱の傾向性があり、特に胃腸等の消化器系が衰えやすく、食べ物の好き嫌い多く、 アトピー性皮膚炎。風邪ひきやすく、肺などの呼吸器系も健とは言えませんでした。
  • 5才丙子年、天干丙庚尅去、大運水旺の水多の年、家庭環境良好ならず、精神的に不安定となりました。
  • 10才辛巳年、天干庚辛、巳中庚金も生水に有力となる水旺運中、財太過の忌。父 仕事面良好ならず、巳中丙火の印はやや無力。
第二運  11才~21才  丁亥(現行)
 天干丁癸尅にて己癸解尅、支は亥卯木局半会の情にて、卯酉解冲、全支個有の支。用神丙火無情なるも調候の功あり、 しかし、忌の傾向性ある運。
  • 11才壬午年、流年干壬水は、天干二己土と濁壬生金の情あり、支は午にて生己土の情あるも、午酉蔵干の尅もあり、 やや忌の流年で、家庭環境の変化により、学校での成績が下がり始めます。
  • 15才丙戌年、丙庚尅去するも、日干己土は午火に有情となり、忌運中のやや喜の流年で、 学友からの援助や交流も円滑で、充実した年となります。
  • 16才丁亥年17才戊子年18才己丑年、財多となる忌の流年続く、この三年間が将来の目標などを決定する 重要な年となるのですが、年齢的な面もあり、ホルモンバランスの影響もあって、異性への関心も高くなりますので、 学業をおろそかにすることなく、集中できるよう、遁甲の活用を十二分に行ってほしいと思っています。
第三運  21才~31才  丙戌
 天干丙庚尅去、午戌火局半会、戌卯合の情不専で卯酉冲去のまま。天干地支共に接近。前金旺四年、後土旺六年。 天運干丙火は原局庚金を去らし、喜が忌を去らすものの、日干は午火に有情となり、日干の根として有力な大運支戌土に通根する喜の傾向性ある大運。
 特に、金旺運は今までの努力が報われ、食傷生財へと繋がっていく、本命最良の運。
  • 21才壬辰年、丙庚解尅、22才癸巳年、23才甲午年、ほぼ良好の流年で、性情面の良い面も現れ、 健ともなり、大学卒業と同時に社会人として、自立するようになります。今まで努力に努力を重ねて来た結果が、 大きな花へと開花して行く運歳でもあります。
  • 24才乙未年25才丙申年、丙庚解尅、(土旺運中)恋愛や、 良き人との出会いもあるでしよう。将来、配偶者縁に問題起こりやすし、周囲の意見を聞く耳を持つことが大切です。
  • 28才己亥年29才庚子年30才辛丑年、喜の大運なれど、食傷、財、やや太過する流年が続くので、 財の問題発生しやすく、金銭の出費、自身の無駄遣いには要注意です。
第四運  31才~41才  乙酉
 天干変化なく、地支は午酉蔵干の尅、酉丑金局半会、卯酉の冲の情不専で、卯酉冲去のまま。冲尅合転々とする酉の金旺運。洩身太過、 食傷は水源となって、原局水旺をさらに強化して、食傷、財太過。日干さらに弱となる忌の傾向性ある大運。
 日干弱となりますので、才能・能力発揮に難があり、財に任ずること難しく、性情面の良好ならざる面も表出しやすくなるので、 結婚していれば、配偶者との財によるトラブルなど起きないよう自制心を養うことが肝要です。
  • 37才戊申年38才己酉年、洩身太過、食傷による食生活に注意が必要です。
第五運  41才~51才  甲申
 天干変化なく、支は卯酉冲去のまま。殺印相生する甲申運。さらに原局癸水が生木し、甲木は制土向かうを、 年干庚金が申に通じて制甲木となる金旺運。日干弱となる忌の傾向性ある運。
  • 41才壬子年42才癸丑年、経済面良好ならず、出費には注意が必要です。また、呼吸器系、産婦人科系の病気に要注意です。
  • 49才庚申年50才辛酉年、金太過し、情緒不安定となりやすいので、明るく振る舞うよう心掛ける必要があります。 また事故、怪我、手術、がんの検査を受けるなど注意が必要です。
 第四運、第五運、共に命のままに流されたなら、配偶者との生死別の憂いもあります。
第六運  51才~61才  癸未
 天干変化なく、支は、午未合、未丑冲、卯未木局半会の情不専にて、卯酉冲去のまま。前四年火旺、 後六年土旺。印・比劫旺ずるも、大運干癸水は庚金の水源あって未土は湿土となって、生金、金また生水の情ある喜忌参半の傾向性ある運。
 人の援助もあり、才能能力発揮が財にも繋がる天運ですが、
  • 51才壬成年52才癸亥年53才甲子年54才乙丑年は特に金銭の出費が多くなる傾向がありますので注意が必要です。
第七運  61才~71才  壬午
 天干変化なく、地支は午酉蔵干の尅にて卯酉解冲、全支個有の支。喜の火旺用神運ですが、大運干に壬水透出し、原局酉金水源となって、流年によって己土濁壬生金、生木の忌象に注意。喜忌参半の傾向性ある運。
  • 61才壬申年、冲天奔池の壬申年、「水多土流」「水多火滅」「水多木漂」となる流年、神経から来る消化器系、婦人科系、血脈系の病気に注意が必要です。

性  情

 本造、三陰一陽で、日干己土の特性、「己土卑湿。中正蓄蔵。不愁木盛。不畏水狂。」とはいいましても、丑月水旺に生まれ、 年支に午火あるものの、調候としては二丙くらい欲しいところ天干に不透で、やや生気に欠ける。丑支は粘着力あって、忍耐強く、 頑張り屋、剛情なところもある、しかし、強気と弱気が共存して複雑、さみしがり屋で、人なつっこい面もある。また、 卯木は日支に坐し、忌神ゆえに、他の人に気を使いすぎる傾向性あって、時として、それが二面性となって現れる。 酉支の色彩感覚良好でおしゃれ、見栄っ張りで、もの事に飽きやすく、わがままでもあり、己土とともに色情性は強い方。 以上の性情面は内面に潜在している部分も多く、家庭環境の問題もあってか、外見的には大人しく、素直に見えて、あまり明朗ではない。

適正進路・適職

(1)
己土は信用を重んずる傾向性があるので、地道な業がよろしいのですが、智的欲求ある人は理論的研究も可。
(2)
天干および丑中に癸水あり、官・公務員、宗教関係、芸術関連業、貿易関連業、しかし、日干弱ゆえ、社長ではなく、 副社長とか、長を補佐する役職が可。
(3)
丑支の何業にも順応、適合できる面もある。

病  源

 日干己土で水多の傾向があるので、腎臓系、婦人科系、日干の根、丑中湿土の己土にあるものの、制水不能。 卯木去により、無いところの木の神経から来る情緒不安定になりやすく、胃腸、肝臓、目(すでに近視)、 アトピー性皮膚炎。調候不及にて風邪引きやすく、卯酉冲去の場合は、風邪を引くとすぐ呼吸系に影響。音声も美とは言えない。
 第四運からは、金旺の忌神運、特に胃腸のポリープ・がんなどの早期発見が必須です。

《中  略》

 以上が本命の運歳におけるおおよその解命ですが、始めに述べましたように、本命、遁甲を活用すれば必ず希望・願望が叶う、 と信じて遁甲活用を続けておりますので、悪い事象は軽減されると思います。
 次に本命が活用して来た遁甲盤の主なるものを挙げておきます。

信頼は最大のエネルギー(遁甲盤1) 信頼は最大のエネルギー(遁甲盤2)

 何とか学業向上のために丁火が入った日・時盤を探していたのですが、なかなか思うように行かず、 思い切って景門の伏門の活用を勧めました。

信頼は最大のエネルギー(遁甲盤3)

 この遁甲活用後、集中力が付いた事もあり、かなり努力したと思うのですが、一挙に三十人を抜いて、 トップの成績となったのです。
 その後、遁甲活用を続けて心身ともに健康となり、学業に集中して頑張っていました。

信頼は最大のエネルギー(遁甲盤4) 信頼は最大のエネルギー(遁甲盤5)

※本来ならば、二丙二戊を使用するにしても、できれば、丙丙・戊戊の組合せよりも、丙戊、丙戊か戊丙の方が良好な盤となるのですが、 土・日、祝祭日、春・夏休み以外に活用できませんので、なかなか思うような盤が使えませんでした。 しかし、当人の目指す目的を十分に果たすことができました。今更ながら遁甲の威力に驚嘆しています。

  • 16才丁亥年は、二丁一癸争尅の情不専、天干己癸尅のまま。亥亥卯木局会の情にて卯酉解冲、全支個有の支。原局丑月水旺生にて、 歳運同途(歳運併臨)の水旺運。財・官殺太過の大忌の流年。

 命のままに流されれば、水の忌象発生。性情面では、情緒不安定になって、物事を中途で挫折、学業がおろそかになったり、 よからぬことを考えるようになりやすい。また、大人ヘの転換期でもあり、性への関心強く、異性交遊など要注意。 今まで頑張ってクラストップの成績であったものが、一挙に下がってしまう可能性多大。ですから、本年は可能な限り、 少なくても年四回くらいの遁甲活用を実行して、集中力を付けることが必須です。
 次に、平成十九年の「基本的大気造命」一年間の日・時盤の組み合わせを挙げておきます。

  • 大運  11才~21才  丁亥
  • 流年  16才~17才  丁亥

 大運干、流年干の二丁に煆金された年干庚金は、湿土に生金され、また時支の酉金は、 日支卯木を制木しつつも水源ともなって、水旺亥運の財をさらに強化します。
 財多には、比劫の陽干ということになるのですが、本命まず、水源となる庚金を制し、 化殺生身と、調候でもあり、用神でもある丙火と、次に戊土の制水ということになります。

  1. 印の丙火多用により、日干を強化する。
  2. 日干の根と、制水する戊土を同時に使用して日干を強化する。戊土も少なくては不可。
  3. 開門・開門、休門・休門の伏門、返門は不可。
  4. 水旺月は時盤の天蓬星不可。
遁甲の候補日

来年の助言

(1)
食生活は、湿木の傾向性があるので、特に木の食品、ミネラル等。穀物、野菜、海草などの食物繊維の多いもの、 肉食はできるだけ避けて、体内でアルカリ性となる食品を主とする。
(2)
薬物によるアレルギーがあるので、病気軽症の時は、まず漢方医、 次は西洋医にかかること。
(3)
性情面の良化の一方法として自律訓練法。
(4)
運動が好きではないので、適度の運動を継続して実行すること。

 本女命に、「遁甲活用に行って、どんなことを考えてノートを取っていますか。」 と尋ねますと、「私の一番欠点であると思っている集中力のなさと、ただ、 だらだらと勉強してしまうところ、また飽きっぽいところを直したい。と気持ちを精一杯込めて 書き込めば、必ず天国の武田考玄先生が叶えてくださることを信じて、ノートの終わりに、 先生見ていてください!!と書きます。」と言いました。
 武田先生を信頼し、遁甲活用によって、自信を付けた彼女には、何とか来年の丁亥年を乗り越えて ほしいと願っています。
 また本命は、生涯を通じて遁甲活用を継続した場合と、途中で止めた場合とでは天地雲泥の差が 生じることになります。しかし彼女は、遁甲の意義・価値をかなり理解してくれていますので、 今後も誠意をもって善導していきたいと思っています。