日航機墜落!!惨事特報

編集部一同

 暗やみに上がる紅い炎………捜索機が最初にとらえたのは、墜落炎上する五二四人乗り日航ジャンボ機の戦慄のシーン です。翌日早朝、山の斜面に散乱する機体、くすぶる煙、引き裂かれた樹木、こげた山肌等、息を飲む生々しい墜落現場が 確認され全国に大きな衝撃を与えました。懸命の救助活動が続く中、奇跡的に助かった四人を除く五二〇人の死亡を確認、 単独機の事故としては空前の大惨事となりました。事故の惨状や、墜落に至るまでの経過については、テレビ、新聞、 雑誌等に大きく報道され、皆様よくご承知の通りですので、詳細は省略します。従って、命理・遁甲の研究資料として必要 な最小限の範囲において、事故の概要を取りまとめておきます。

日航123便のレーダーによる推定飛行コースの図と、墜落ジャンボ機の飛行高度

 羽田発大阪行き日航第一二三便のボーイング七四七型ジャンボ機は、 昭和六〇年八月一二日、定刻より一二分遅れて午後六時一二分、乗客五〇九人、乗員一五人を乗せ、羽田空港を出発。 離陸の一二分後、巡航高度の二万三千九百フィート(七千百七十メートル)に達した相模湾上空において、 機体後部圧力隔壁と尾翼を瞬時に破損。高度を下げ、右旋回して羽田に引き返そうとしたが、操縦不能に陥り、 緊急信号を発信、上図に示す如く、機を左右に振るダッチロールでの迷走を続けた後、 離陸の約五〇分後に群馬・長野県境の御巣鷹山斜面に墜落し、炎上。現在(昭和六〇年九月)、 運輸省航空機事故調査委員会により、事故原因となったとみられる、七年前の大阪空港での尻もち事故の際の隔壁補修箇所を中心に、 鋭意調査が進められている。
 事故の状況は以上ですが、編集部として、今回の事故を取り上げる理由は、大きく分けて次の三点にあります。
 その第一は、命理学上、集団としての事故は個人単独の場合と根本的に相違するものか否か、の問題です。個人の場合の 事故と命運の関係については、命理学上相当研究が進んでおり、事故の未然防止のための審察・助言は可能ですが、今回 のような一度に多数の人が死亡するような集団としての事故に対して、その助言が果たして可能か否か、航空機の事故の みではなく、電車の脱線・転覆、都市ガスの爆発、炭鉱落盤事故、ホテル火災、漁船の遭難等、過去においても多種類の 事故が発生しており、集団であるという点でこれらはすべて共通するものです。この問題に関し、現在のところ明確な実 証的事実を提供できないのが残念ですが、例えば次のような相関関係があるものと考えられます。

(1)
集団と個人の事故も命理学上は全く同様に取り扱い得る。従って、命運の良好な人は事故に会わないし、 たとえ会ったとしても死傷を伴うことはない。集団としての事故の場合も、事故に会い、死傷するのは命運の悪い人のみ である。
(2)
集団を構成する各個人の命運は、集団の総和としての命運の喜忌に依存し、集団の中にあってはその独自性 を損なうか、あるいは独自性が軽減される。
(3)
集団としての事故に最も大きなウエイトを占める人物(今回の航空機事故の場合、機長および副操縦士、電車 事故の場合、運転手等)の命運に大きく依存し、個人の命運はその人物の命運に引っ張られる。
(4)
集団の事故は諸々の条件・要因が複雑に重なり、いかなる種類の事故であれ、命運との相関関係、因果関係はなく、 命理による解明は不可能である。

 第二に事故の種類による相違です。 今回のような飛行機事故は普通一般の地上における事故と異なり、「速度」 「高度」が全く違うという点です。高度の違いは、地上五千メートル以上であり、気圧・気流は地上生活の状況と 全く違い、速度は新幹線の三倍以上となって、次元的に全く異質となるのです。このことは、“機械文明の高度化・ 精密化は、針の先ほどの異常さえも調和を破り、大事故につながる”のも常識でさえあります。
 これらの点を考慮しますと、当然、今回の航空機事故においても命運に非ざるに死亡した人が多数おられるので は………、と予想されるのです。

事故機離陸の遁甲盤

 第三に、こうした高度と速度を伴う航空機の場合には、 遁甲は一片の存在価値もないものかどうか、という問題です。
 今回の事故機離陸の遁甲盤を左記に示しますと、日・時盤の天盤は癸丁の尅の関係にあり忌、日盤の驚門は伏門、 また、時盤の傷門は反吟、日・時盤の門の関係も反吟の忌の関係にあります。羽田沖日航機墜落事故 (昭和五十七年二月)を扱った『天地人』№6でも、武田先生の言として、「飛行機に乗る際は特に、傷門・驚門・死門 の凶門を使ってはならない。」と厳重な注意をされておりますが、今回もこの凶門を日・時盤共に犯しています。これは、 どんな命造の方にとっても凶となる盤であり、本当の遁甲を知っていたなら、可能な限り乗らないよう助言したと思いま す。しかし、「墜落しますからおやめください。」と予測・断言まではできなかったでしょう。 つまり、全日空は、18時00分、東亜が18時30分、日・時盤が全く同じで大阪へ出発、 この二機にはなんの事故も発生していないのです。これらの飛行機を利用することの良しあしを問われれば、 既述のような返事となるのです。ですから、遁甲が全く無価値であるどころか、命理よりはるかに有効な存在価値がある、 と言えるのです。

 命理・遁甲学上、前述の諸点から今回の事故を実証的に究明するためには、奇跡的生存者をはじめ、 死亡者の多くの方の正確な四柱八字が必要です。
 本号では、奇跡的に助かった四人の生存者の中の一人の方の命造をご紹介します。航空機の事故には、 生時の推定は意味をなしませんので、生年月日時については、ご不幸中大変失礼と存じましたが、 日本命理学会からご実家に照会いたしました。ご両親、妹さんの家族三人を失う悲嘆の中で、 誠意あるお返事をいただきましたが、命理・遁甲の資としては極めて貴重な例であります。ご厚意に対して、 心から厚く御礼申し上げます。


命造(真の従財生殺格)

 まことに奇麗な「真の従財生殺格」であり、 この命に対して、多くの説明は必要ないと思われますが、年、月干に透出する二壬水は月令を得、 水は年月柱に団結し、支は酉丑金局半会して時干に辛金高透しますが、 通閑としての土がないのが惜しまれるところです。
 大運は北方より西方の喜用運を巡り、南方の丙午運は、 水旺の年月柱団結によって午根抜かれ、天運干丙は滅火、 普通格局でよくいわれる、“衰神が旺神を激怒せしむる”こととはならないのです。ただ、木の流年には少しく忌の 象現れるものです。 続く、忌の東方運も年月に団結する水勢によって漂木・湿木となり、大運干常に救応あって大忌となりません。 原局の「位相」は極めて高く、大運は「前清後半濁」の富貴の命で寿も長く、今後の発展向上が期待できます。しかし、 本年は大運辛亥、流年乙丑にて、亥子子丑丑の北方全くし喜であるものの、流年干乙は、大運干辛と原局辛との二辛に 受尅され、墜落事故によって木の手と神経に問題を生じましたが、比較的軽い負傷で助かったのも、命理学の示す通り です。また水智と丁文、テレビの映像に写し出されるうりざね型の理知的で端正な顔もうなずけるところでしょう。
 事故によって、一度に家族を失った心の傷は計り知れないものがありますが、悲しみを乗り越えて、 ご両親や妹さんの分まで幸福に生きられんことを心から願うものであります。

 編集部では、この事故に対して、可能な限り調査研究し、本誌に公表してまいりたいと考えています。 上記の五名の方々の生時、また、亡くなられた方々の生年月日時の積極的な提供・公開を関係各位にお願いする 次第です。
 最後に、亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げるとともに、遺族の方々には衷心よりお悔やみ申し 上げます。また、負傷された方々には謹んでお見舞申し上げます。